※2024年4月5日最終更新
ヨコハマの街・再開発ブログをご覧いただきありがとうございます。
2023年1月16日、横浜市公共事業評価委員会に係る道路部会が開催されました。
この道路部会で羽沢池辺線が審議の対象となり、現状と今後の方向性について明らかになりました。
今回は、道路部会で使用された「公共事業再評価調書(案)」をもとに、羽沢池辺線の最新情報を整理したいと思います。
ぜひ続きもご覧ください!
▼【概要まとめ】羽沢横浜国大駅周辺がますます便利に!羽沢と鴨居を結ぶ羽沢池辺線とは
羽沢池辺線とは?
羽沢池辺線は都市計画道路(都市計画法に基づいて都市計画決定された道路)の一つで、神奈川区羽沢南二丁目を起点とし、都筑区池辺町を終点とする延長約5,050mの道路のことです。
このうち、羽沢南二丁目の環状2号線から緑区鴨居町の山下長津田線までの延長約3,150mの区間を羽沢・菅田地区と称して、平成4年度から事業を行っています。
羽沢池辺線を整備する目的は、一言で表すと「新横浜周辺と港北ニュータウン/東名青葉インターとのアクセス改善による利便性向上」です。
ご覧いただいているように、羽沢池辺線が計画されている箇所はちょうど幹線道路の空白地帯となっています。
それが羽沢池辺線が開通することによって空白地帯だったエリアに幹線道路が誕生し、交通利便性が向上する効果が見込まれます。
さて、羽沢池辺線の事業区域、いわゆる道路用地はこのような状況となっています。
羽沢池辺線の建設が行われている気配はなく、農地として利用されていることが見て取れます。
より詳細に道路用地の状況を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▼【現地レポ】2022年3月現在、羽沢池辺線の道路用地を見てきました【羽沢町・菅田町】
羽沢池辺線の開通は最短で2030年!
ここからは、「公共事業再評価調書(案)」に基づき、用地取得や工事の状況、今後のスケジュールなどを確認していきます。
昭和62年度(=1987年度)に始まった羽沢池辺線の整備計画は、平成14年度(=2002年度)に羽沢池辺線の工事が完了するというスケジュール感でした。
しかし、事業費の確保が出来なかったことから、平成30年度(=2018年度)に完了時期をずらしました。
それでも羽沢池辺線の工事は進まず令和4年度(=2022年度)へ再延期。
ただ、それでも間に合わず令和11年度(=2029年度)に再々延期する流れとなっています。
昭和に開始した計画が平成、令和と移り変わり、それでもなお羽沢池辺線は開通していないという訳です。
ここまで延期が続くと、令和11年度(=2029年度)完了というのが信じ難いように感じますよね。
ただ、これまでと違い実現性が高いと感じられる情報がありました。
2022年4月、羽沢池辺線は重要物流道路に指定されました。
重要物流道路とは、物流の観点から重要な道路を指します。
物流のさらなる円滑化等を図るため、国土交通大臣が指定した道路のことです。
出所:https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/butsuryu/Top03-02-03.htm
重要物流道路の指定が後押しとなり、「公共事業再評価調書(案)」には、今後の対応方針として「計画通り(上記計画を実施)」との記載がなされました。
つまり、羽沢池辺線の計画は中止とならず、令和11年度(=2029年度)の開通に向けて引き続き用地取得や工事を行っていくことが決定しました。
現在の事業進捗率は44%、用地取得率は86%となっています。
下記グラフを見ると、ここ15年ほどは事業進捗率も用地取得率もほぼ横ばいとなっていることがわかりますね。
地域住民の反対がある?
横浜市公共事業評価委員会に係る道路部会では、都市計画や都市交通計画に知見のある公共事業評価委員が3人参加しており、質疑応答が行われました。
その中で出た話題をこちらで整理していきたいと思います。
まず、羽沢池辺線の用地取得率が停滞していることについて、次のようにやり取りが行われました。
理由は大きく2点、農業をしている地権者との交渉が進まないこと、予算が不透明で積極的な交渉ができないことが挙げられています。
これだけ見ると、地権者と横浜市の間で揉めているようにも見えますが、
地元の自治会や町内会は羽沢池辺線に期待しており、現状反対意見は出ていないとのことでした。
予算を確保でき、計画自体の透明性が出れば、用地取得率も上がっていくのではないかと思われます。
また、羽沢横浜国大駅との関係性についても触れられていました。
結論としては、羽沢池辺線は羽沢横浜国大駅に直結せず、羽沢池辺線から羽沢横浜国大駅にアクセスするには環状2号線でUターンする必要があるとのことです。
リビオタワー羽沢横浜国大の住民にとっては利便性が気がかりな部分ではあるかと思います。
また、リビオタワー羽沢横浜国大の商業施設を利用する方もUターン必須ということで、懸念材料の一つにはなってしまうかと思われます。
本来であれば、羽沢横浜国大駅を中心として道路交通網の整備も行われなければならないはずですが、農地が多く物理的に実現不可能なのが現状、といったやり取りが行われました。
部会長である中村文彦氏は、2015年4月から2021年4月まで横浜国立大学の教授をされており、特に2015年4月から2019年3月までは副学長を務められていたようです。
都市交通の専門家であり、また横浜国立大学で勤められていた経験から、羽沢池辺線と羽沢横浜国大駅の関係性に強い課題感を感じているようでした。
おわりに:今後の動向に期待が持てそうか
これまで羽沢池辺線の情報はなかなかアップデートされず、進捗状況が気になる方からすれば、ヤキモキする状況が続いていました。
今回、2023年1月時点の最新情報が横浜市公式で発表されたというのは大きな前進ではないかと思います。
また、その資料の中で令和11年度(=2029年度)の工事完了を目指すという記載があったのは収穫でしたね。
これから数年かけて工事が本格化していくのではないかと思います。
当ブログでは羽沢横浜国大駅周辺の動向として、羽沢池辺線の工事進捗も追っていきたいと思います。
お気づきの点や当記事の感想などコメント欄にお寄せいただけると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
<出典>
コメント
コメント一覧 (2件)
はじめまして。とても興味あるブログですね。
私は生まれ育ちが保土ケ谷の写真好きなものです。あまりにも変化の早い市内の様子、それもいわゆる観光地ではない場所を写真に記録しています。
計画道路沿いをただ歩くだけのブログはよく見かけますが、ヨコハマニアさんのように掘り下げて、というブログはなかなか見かけずこれからも拝見したいと思います。
yoksnapshotさん、コメントありがとうございます。
そのように仰っていただき大変嬉しいです。
街の様子を普段から写真に収めておられるとの旨、私も同様に取り組みを行っているので親近感を抱きました。
私自身、街が変化していく様子を見ること自体も好きですし、それを掘り下げて納得のいくまで調べて整理するという行為が好きでブログを続けています。
今後も羽沢池辺線のような計画道路から駅前再開発、商業施設など幅広く取り扱っていきたいと思いますので、引き続きご覧いただけると嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします!