>羽沢横浜国大駅は本当に街力がないのか?【検証記事】

敷地面積15万㎡のJR貨物・横浜羽沢駅とは?今後の開発方向性を分析【羽沢横浜国大駅至近】

ヨコハマの街・再開発ブログをご覧いただきありがとうございます。

今回は、貨物駅であるJR貨物・横浜羽沢駅に着目し、横浜羽沢駅の概要や今後の開発方向性についてまとめたいと思います。

羽沢横浜国大駅に隣接し、広大な敷地を有しているJR貨物・横浜羽沢駅でも開発が進めば、羽沢エリア全体での盛り上がりが期待できますよね。

羽沢横浜国大駅周辺の再開発や街づくりに関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください!

目次

JR貨物・横浜羽沢駅とは?

横浜羽沢駅は、横浜市神奈川区羽沢町83-1に位置する貨物駅です。

https://railf.jp/news/2019/12/01/195500.html

東戸塚駅付近から横浜駅を通らずに川崎方面へアクセスできる東海道貨物線の路線上にあります。

JR貨物(日本貨物鉄道)が運営しており、1979年10月1日に開業しました。

赤線で囲んだ部分がJR貨物・横浜羽沢駅の敷地になります。

航空写真で見た方がわかりやすいでしょうか。

敷地の総面積は約15万㎡で、横浜スタジアム8個分の広さがあります。

JR貨物・横浜羽沢駅ではコンテナ貨物を取り扱っており、12フィートコンテナや20・30フィートの大形コンテナなどが主な対象となっています。

12フィートコンテナ(出所:https://www.container-ichiba.jp/post_standard/container-163/)

JR貨物・横浜羽沢駅の入口は敷地の北端(下図の青丸部分)にあり、駅舎も入口付近に設けられています。

JR貨物・横浜羽沢駅の駅舎

貨物取扱量は、2018年度で約34.8万トン(出所:カーゴニュース)となっています。

JR貨物・横浜羽沢駅に停車する列車の本数は1日10本で、それ以外の多くの列車は横浜羽沢駅に停車せず、通過しています。

2019年11月にリニューアルを実施

JR貨物・横浜羽沢駅は貨物駅の改良工事を実施しており、2019年11月30日にリニューアル開業式を開催しました。

羽沢横浜国大駅の開業日と同日に、JR貨物・横浜羽沢駅でもリニューアル開業式が執り行われていたようです。

https://www.logi-today.com/359690

このリニューアルでは、JR貨物・横浜羽沢駅に貨物列車が到着した直後にコンテナの積み下ろしを可能とする「E&S方式」(着発線荷役方式)を採用しています。

これまでは、積み降ろしを行う「荷役線」と列車が走る「本線」が別々に存在し、両線を行き来する必要がありました。

https://hyuuuma.com/wp-admin/post.php?post=8832&action=edit

E&S方式を採用することで、荷役にかかる時間を30分~40分短縮できるなど、時間短縮コスト削減の効果が見込めるとのことです。

隣接する羽沢横浜国大駅で相鉄・JR直通線や相鉄・東急直通線を整備する事業が行われていることに端を発し、JR貨物でも17億円を投じて横浜羽沢駅の改良工事に踏み切ったようです。

横浜羽沢駅の今後の開発方向性は?

それでは、ここからは横浜羽沢駅の今後の開発方向性について見ていきたいと思います。

横浜羽沢駅の敷地面積である15万㎡というのは、羽沢横浜国大駅周辺の再開発エリア「HAZAWA VALLEY」の約9倍の広さです(※HAZAWA VALLEYの敷地面積は約1.6万㎡)。

この広大な敷地がマンションや商業施設などに土地利用されれば、インパクトはかなり大きそうですよね。

今後の横浜羽沢駅の開発余地について、JR貨物の見解横浜市のまちづくり計画の2点から整理したいと思います。

 

①JR貨物の見解

まず、JR貨物の見解について見ていきます。

物流ニュースサイト「LogisticsToday」では、横浜羽沢駅のリニューアル開業式に関する記事を公開しています。

その中で、リニューアル後の横浜羽沢駅の在り方についてJR貨物の見解が掲載されていました。

https://www.logi-today.com/359690

2019年11月に実施したリニューアル工事により、JR貨物・横浜羽沢駅の敷地に余力が生まれました

下図にある通り、横浜羽沢駅で採用したE&S方式ではコンテナホームのスペースが大幅に削減できるからです。

https://hyuuuma.com/wp-admin/post.php?post=8832&action=edit

そこで、余力が生じた横浜羽沢駅の敷地の活用方法について、JR貨物関東支社の吉澤淳支社長は「現在の平屋建て倉庫に入居している物流会社との相談や市街化調整区域の問題もあるが、今後5階・6階のマルチテナント型物流施設を建設する可能性はある」と述べています。

https://www.logi-today.com/359690

つまり、今後の横浜羽沢駅の開発についてJR貨物関東支社で検討が進められているということが伺えます。

記事中にある東京レールゲートとは、東京貨物ターミナル駅付近に建設されたJR貨物初のマルチテナント型物流施設です。

https://mflp.mitsuifudosan.co.jp/logistics/pickup/tokyo.html

WEST棟とEAST棟があり、WEST棟は2020年3月に、EAST棟は2022年7月に営業開始しました。

https://mflp.mitsuifudosan.co.jp/logistics/pickup/tokyo.html

WEST棟は地上7階建てで、2階~6階が倉庫事務所などとなっています。

鴻池運輸や日本運輸倉庫などが入居しており、物流拠点として活用されています。

EAST棟は地上5階建てで、WEST棟と同様に物流拠点として各種企業にテナント貸ししています。

つまり、東京レールゲートは一般消費者向けではなく、物流拠点として物流関連企業に利用される施設と言えます。

JR貨物の見解では「マルチテナント型物流施設を建設する可能性はある」としており、東京レールゲートのような物流拠点を建設する可能性を示唆しています。

 

なお、JR貨物関東支社の吉澤社長が言及していた横浜羽沢駅の用途地域について確認すると、

https://wwwm.city.yokohama.lg.jp/yokohama/Portal

横浜羽沢駅の敷地全てが市街化調整区域となっていました。

吉澤社長が言及していた「5階・6階のマルチテナント型物流施設」を建設するには、用途地域の見直しが必要不可欠な状況となっています。

 

②横浜市のまちづくり計画

続いて、横浜市のまちづくり計画を見ていきたいと思います。

横浜市が2015年5月に公表した「羽沢駅周辺まちづくりガイドライン」では、羽沢横浜国大駅周辺の将来像について、7つの地区に分けて整理しています。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/toshin/shinyoko/hazawa.files/0001_20180925.pdf

JR貨物・横浜羽沢駅は、この将来像マップでB地区に指定されています(地図中、薄紫色)。

B地区の土地利用方針は、次のように記載されています。

【B地区】
鉄道輸送が物流にかかる環境負荷低減に有効であることを踏まえ、基本的に流通機能を維持しつつ、新駅開業を契機とした旅客駅周辺にふさわしい機能や基盤の整備などの検討を進め、必要に応じて適切に機能集積等の誘導を図っていきます。

この記述を見るに、次の3点が言えるかと思います。

①JR貨物・横浜羽沢駅は今後も物流拠点として流通機能を担う

②ただ、羽沢横浜国大駅の開業を契機として、街にふさわしい機能や基盤の整備も検討する

③そのため、必要に応じてJR貨物・横浜羽沢駅の物流機能を集約させ、土地の有効活用が進むように誘導していく

 

大前提として、羽沢横浜国大駅が開業し、またHAZAWA VALLEYが街びらきしたとしても、JR貨物・横浜羽沢駅の物流拠点としての機能はなくさないということです。

ただ、羽沢横浜国大駅に隣接するエリアに約15万㎡の敷地を有していることから、今後は街にふさわしい機能、つまりは商業的な土地利用も検討するとしています。

そのためには土地の余力が必要になるため、現在のJR貨物・横浜羽沢駅の物流機能を集約させ、余力が生まれた土地を商業利用していくことも検討するとのニュアンスかと思います。

 

なお、「羽沢駅周辺のまちづくりガイドライン」は強制力のある文書ではなく、今後のまちづくりを円滑に進める上での“指針”としての役割を果たすものとされています。

新駅設置を適切に受け止め、既存の恵まれた良好な農地や樹林地の維持や都市環境の改善を図るため、中長期にわたるまちづくりの目標と方針を明らかにして、地域住民、事業者、行政で地区の将来像を共有することを目的としています。

そのため、このガイドラインに沿ってJR貨物が必ず動くという訳ではないということに留意が必要です。

おまけ:JR貨物に問合せしてみた

JR貨物・横浜羽沢駅の今後の開発方向性に関して言及した媒体は、最新でも2019年11月時点となっています。

そこから約3年が経った2022年9月現在、横浜羽沢駅に関する開発の検討は進んでいるのでしょうか。

 

当ブログでは、JR貨物のお問い合わせ窓口に下記内容を問い合わせました。

【問い合わせ内容の要約】
・羽沢エリアでは羽沢横浜国大駅を中心に再開発が進められている

・JR貨物では街づくり等の開発計画を有しているのか

・例えば横浜羽沢駅の線路上空間利用などが考えられるが、こういった内容は検討・計画しているか

 

3つ目に記載している「線路上空間利用」については、竹中工務店の公式HPを参照しています。

https://www.takenaka.co.jp/solution/purpose/railroad/service08/index.html

線路上を活用した線上都市・大空間として、竹中工務店は公式HP上でソリューション提案を行っています。

公式HPの説明では、

線路上に人工地盤を構築することで、新たな敷地を創出します。
人工地盤を免震化することにより安全安心なデザイン性の高い魅力的な駅や施設を計画することができます。

との記載があります。

横浜羽沢駅の線路上についても、このように人工地盤を構築することで新たな敷地を創出し、土地の有効活用につなげられるのではないかということを問い合わせました。

 

なお、線路上空間の有効活用については、Twitter上でマンションさんぽ(@mansion_sanpo)さんが呟かれていた内容を参照させていただきました。

 

問い合わせから約3日後、JR貨物から回答が届きました。

ご覧の通り、回答内容は非公表という結果に終わりました。

もし開発が進められるとしても、ある程度形になった段階でJR貨物からプレスリリースが発表されるとみられ、それまでは公表されないものかと思います。

総務部広報室のご担当者さま、ご回答ありがとうございました。お手を煩わせてしまい申し訳ありませんでした。

まとめ:今後、何かしら動きはありそう

今回は、JR貨物・横浜羽沢駅の概要と近況について整理し、今後の開発方向性についてJR貨物の見解と横浜市のまちづくり計画を見てきました。

2019年11月に行われたリニューアル工事を契機として、今後何かしらの動きはありそうだと感じました。

ただ、JR貨物の見解横浜市のまちづくり計画ともに確定事項として言及したものはなく、大枠の方向性や可能性について述べたものに留まっています。

東京レールゲートのようなマルチテナント型物流施設が建設されるのか、商業的な土地利用としてマンションや商業施設が建設されるのか、具体的な動きは出ていません。

 

また、こうした土地利用のハードルとして、現状は市街化調整区域という用途地域の課題があることもわかりました。

JR貨物・横浜羽沢駅の開発が進むとしても用途地域の見直しを踏まえる必要があり、少なくとも2~3年単位の時間は要するとみられます。

そこから開発を進めるとなると、最低でも5年程度は現在の土地利用が継続するのではないかと考えます。

もし横浜羽沢駅の開発が形になるとしたら、2030年頃が一つの目安となるでしょうか。

 

JR貨物・横浜羽沢駅に関して何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、コメント欄にお寄せいただけると嬉しいです。

また、本記事の感想もぜひお待ちしています。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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コメント

コメント一覧 (11件)

  • 羽沢貨物駅の件は羽沢民はかなり気になるトピックスですよね。
    自分も引っ越す時めちゃめちゃ調べて貨物駅に対してとても詳しくなりました笑
    もしいつか貨物駅が再開発されたら二子玉川ライズ規模の施設作れるな〜なんて妄想してました笑
    確か大阪の方では貨物駅が再開発された事例があったような……

    物流の拠点として必要な駅だとは思うので維持しつつ効率化されて集約化されて多少商業施設や住宅開発されたら地元民としてはとても嬉しいですね!特に竹中工務店さんの線路上開発はワクワクしますね〜

    現地はリビオの成長が早くなってきてる気がします!2週間くらいで1階分のペースで進んでます。
    このペースだと年内には12,3階くらいになってそうですね!

    • かとうさん、コメントありがとうございます。
      私はこれまで貨物駅がノーマークだったのですが、記事化するにあたり色々調べると
      貨物駅も奥が深くて面白いな~と思いました!
      敷地面積15万㎡ですからね!二子玉のようなまとまった商業エリアが開発できる規模感ですよね。
      貨物駅との両立という観点でも、竹中工務店の線路上空間利用はマッチしそうですね~。
      もし実現すればかなりまとまった面積を確保できそうですし、ワクワクします。

      2週間に1階のペースと言うと、これまでよりかなり速いですよね。
      商業施設部分が終わり、住居部分になったことでスピードアップしたんですかね…!
      今後の進捗もますます楽しみです。ぜひ教えてください!

  • いつも拝見しております。
    有益な情報ありがとうございます。

    私もハザコクの開発は、あの貨物駅しかないと思ってました。
    周辺の地形からして、ほとんど開発の余地が無いですよね。
    その点でマンションさんぽさんの言われていた、竹中工務店のものは正にハザコクの為のモノ!と言う感じですよね。
    是非採用して頂きたいです。
    貨物施設が商業施設やマンションに転用した例としては、新川崎駅近くの、かつてあった広大な新鶴見操車場の例があるので出来ないことは無いと思うのですが…
    今後の横浜羽沢駅の動向に期待しております。

    • みのさん、コメントありがとうございます。
      私はF地区(羽沢横浜国大駅北側の羽沢町)にばかり目がいっていたので、灯台下暗しという感覚でした…!
      みのさんのおっしゃるように、貨物駅は敷地面積が広大ですし開発のポテンシャルもあるので今後の動向が楽しみです。
      線路上空間利用はハザコクの谷状の地形をうまく生かせそうで、良さそうですよね。

      新川崎駅付近は何度か街歩きしたことがありますが、あの辺りの整然とした街並みは新鶴見操車場の跡地だったのですね!
      この前例を踏まえて、横浜羽沢駅でもぜひ開発を推し進めてほしいです。

      • ご返信ありがとうございます^ ^
        追記になりますが、先日の土曜日にランニング中、今回の記事より横浜羽沢駅を注視していたところ、ちょうど羽沢横浜国大駅側よりの長い人道橋を渡り切った左手下辺りの貨物ヤードの線路ですが、かなりの数の撤去が始まっていることに気付きました。
        これは、Google mapでも確認が出来るので結構前からのようですね。
        ハザコクマニアの最新記事を読んだばかりでしたので、これは!もしや、土地の転用に向けてでは⁈と思わず期待してしまいたが、ちょっと先走りすぎますよね…

        • 訂正
          > 長い人道橋を渡り切った左手下辺り

          とありますが、右手下辺り でした。
          失礼致しました。

          • みのさん、コメントありがとうございます。
            また、現地の情報も共有いただき有難いです。
            Googleマップを見てみたところ、確かに線路が撤去された形跡が見えました!

            Twitter上での情報では、撤去作業のスピードが遅いという呟きがあり、何か目的があって線路を撤去したというよりは、E&S方式にリニューアルしたことで不要になった線路をとりあえず撤去したという状況なのかなとも思いました。
            ただ、こうして空き地の存在が明らかになることで、JR貨物としてもこの先の土地利用について検討スキームを早める材料になるのでないかと期待しております…!

  • 市街化調整区域、既に物流拠点としての開発済とネガティブ要素は多い気がしますが期待が高まりますね。もし開放されるとなるとわくわくしかないですね。毎日散歩しに行きたいくらい。笑

    天王町のイオンの情報が数日前に公開されてましたね。テナントはショッピングモールでいつもいくスタメンばかりで妻が大興奮しておりました。イオンはニーズを捉えてますね。どうせなら同規模のイオンが出来て欲しいです。笑

    • 寿司好きさん、コメントありがとうございます。
      実現に向けたハードルはいくつかありますが、開発の可能性が残っているのは嬉しいですよね。
      あの広大な敷地の一部だけでも商業的な開発が行われれば、ハザコクの印象もまた一味変わりそうです!

      天王町のイオン、テナントのラインアップが流石でしたね~!
      ハザコクも3㎞圏内なので、土日などの買い物先として重宝しそうですね。

  • ひゅうまさん、とても素敵な記事をありがとうございます。
    これからのハザコクが、より一層楽しみになりました。
    ハザコクの発展を日々味わいながら、余生を過ごしたいと思います。

    • ハザコクおじさんさん、コメントありがとうございます。
      そのように仰っていただきとても嬉しいです!
      JR横浜羽沢駅の今後についてはまだまだ不確定要素が多いですが、そこも含めて楽しみですよね。

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