※2022年5月時点の情報となります。ご了承ください。
ヨコハマの街・再開発ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、HAZAWA VALLEYの約半分の面積を占める”第三者所有地”に着目し、公開情報をもとにどのような建築物が建設されるのか考察したいと思います。
リビオタワー羽沢横浜国大の購入を検討している方、羽沢横浜国大駅周辺の再開発に興味のある方にぜひ読んでいただきたい記事となっています!
※時間のない方は、目次から「3.7.まとめ 第三者所有地はどうなる?!」に飛んでください。
HAZAWA VALLEYの概要を紹介
HAZAWA VALLEYとは、羽沢横浜国大駅周辺(神奈川区羽沢南2丁目)で行われている再開発のエリア名称です。
もともとは寺田倉庫が所有する倉庫群があった場所ですが、新駅(=羽沢横浜国大駅)の開業決定により区画整理が行われ、再開発の対象となっていました。
HAZAWA VALLEYという名称の由来は、次の通り。
江戸時代にはここ一帯に、「羽沢(はざわ)」という地名がついていました。
そんな歴史ある地名を継承しながら、米・カリフォルニア州にある、IT企業やスタートアップ企業が集積するシリコンバレーになぞらえて「HAZAWA VALLEY」という街名が付けられました。
出所:HAZAWA VALLEY 公式HP
HAZAWA VALLEYの総開発面積は約16,000㎡で、これは東京ドーム約0.3個分の大きさとなります。
三角形に近い形をしていますね。
ちなみに、ゆめが丘駅/下飯田駅の再開発は東京ドーム約5個分、川和町駅は東京ドーム約1.5個分、新綱島駅は東京ドーム約0.6個分の規模感です。
横浜市内の再開発事業と比較すると小規模に見えますが、実際に現地を見てみると、まとまった規模の開発が行われることがわかると思います。
第三者所有地とは?
HAZAWA VALLEYは既に開発が進んでおり、開発の進捗状況から約16,000㎡のエリアを大きく3つに分類することができます。
①リビオタワー羽沢横浜国大/商業施設
これがHAZAWA VALLEYのメインと言っても過言ではないですね!
23階建ての高層ビルで、1~4階部分に商業施設が、5~23階部分に357戸のタワーマンションが建設されています。
この高層ビルは2023年11月下旬に竣工するスケジュールで、タワーマンションの入居は2024年2月上旬となっています。
商業施設の開業時期はまだ公表されていません。
この商業施設を開発する事業者は、まさにこの土地で倉庫業を営んでいた寺田倉庫になります。
具体的なテナントは明らかになっていませんが、スーパーマーケットや子育て支援施設、横浜国立大学の施設、農業活動支援施設などが設けられる計画となっています。
②クリエイトSD/メディカルプラザ羽沢横浜国大
クリエイトSD羽沢横浜国大駅前店は、2021年5月に開業しています。
営業時間は9:00~22:00です。
駐車場が26台分、バイク用駐輪場が7台分が用意されています。
ドラッグストアとして日用品や医薬品の品揃えはもちろんこと、野菜や肉などの生鮮食品、乳製品などまで幅広く取り扱っています。
この建物の2階にはメディカルプラザ羽沢横浜国大というクリニックモールがあります。
内科・循環器科、皮膚科、眼科が既に開業しており、小児科「羽沢こどもクリニック」が2022年5月2日に開業予定となっています。
公式HP:
③第三者所有地
HAZAWA VALLEYの中で開発事業が未着手のエリアを指しています。
この図でいうクリーム色の部分ですが、①クリエイト側と②リビオタワー羽沢横浜国大側の計2か所があります。
現時点では、どのような建築物が建設されるか情報は公開されていません。
①クリエイト側の現況写真です。
現在はコインパーキングとして利用されています。
細長い土地ですが、結構な広さがあるのが写真から見て取れるかと思います。
②リビオタワー羽沢横浜国大側の現況写真です。
写真右手に映っている黒色の建物は羽沢横浜国大駅の駅舎です。
その建物と道路の間にあり、現在駐車場となっているエリアが第三者所有地です。
写真正面には工事の事務所として使われている2階建てのプレハブも見えますね。
横浜市の地区計画をもとに考察
さて、この第三者所有地について開発計画が公表されていないことから、様々な憶測が飛び交う状況となっています。
本記事では、横浜市の公式発表資料に基づき、第三者所有地でどのような建物が建つ可能性があるのか考察していきたいと思います。
今回参考にする情報は、横浜市公式HPのこちらです!
タイトルには、「神奈川 羽沢南二丁目地区」とあります。
このページは、横浜市が定める地区計画条例に基づいて作られた地区計画を紹介するページです。
<地区計画とは>
都市計画法に基づいて定める特定の地区・街区レベルの都市計画のこと。
まちづくりの方針や目標、道路・広場などの公共的施設(地区施設)、建築物等の用途、規模、形態などの制限をきめ細かく定めるもの。
横浜市では地区計画を定めたエリアについて、地区計画を順守しているか建築確認を受ける必要があります。
建築確認を受けなければ、建築物の工事に着手することはできません。
つまり、”この地区計画に記載されていることは必ず守られる”ということで、地区計画を紐解いていけばHAZAWA VALLEYの第三者所有地も方向性が見えてくるということになります。
それでは、「神奈川 羽沢南二丁目地区」の地区計画を一つずつ見ていきましょう!
まず対象エリアについて、下図に記載の約2.2haとなります。
地区計画は黄色のA地区、オレンジ色のB地区、水色のC地区と3つに分類されています。
A地区はリビオタワー羽沢横浜国大、B地区はクリエイトSDと第三者所有地、C地区は羽沢横浜国大駅ですね。
この地区計画の対象面積は約2.2haとなっており、HAZAWA VALLEYよりも0.6ha大きいのは、羽沢横浜国大駅が地区計画の対象に含まれているからだとみられます。
地区計画の目標
この地区計画で掲げる”羽沢南二丁目地区の目指すべき姿”は次の通り。
<地区計画の目標>
神奈川東部方面線整備により新横浜さらには東京都心に通ずる鉄道ネットワークが形成され、また隣接して都市計画道路羽沢池辺線の整備が行われるなど交通利便性がさらに向上し周辺地域の市街地開発の期待も高まることなどから、人の流れの発生と将来の拡大に対応する、都心における新駅の駅前としての役割が求められる。
(中略)
本地区計画において、駅前にふさわしい土地利用の転換及び良好な市街地環境の形成を図ることを目的として、再開発等促進区を定め、良好な民間開発を誘導する。
これを読むと、羽沢横浜国大駅周辺がいかに期待されたエリアなのかよくわかりますよね!
第一に鉄道利便性の向上、第二に交通利便性の向上、第三に市街化開発の促進。
これらを背景として羽沢横浜国大駅周辺のニーズがより高まることが予想されるため、素敵な街になるように地区計画を定めて行政が民間開発を誘導していこう!ということですね。
土地利用の基本方針
羽沢南二丁目地区の土地利用に関する基本方針は、
<土地利用の基本方針>
1.コミュニティプロムナードの整備
〇周辺の住宅地や大学等から駅への主要な歩行者ネットワークを形成する
〇広場や防災拠点などの幅広い活用
2.土地の高度利用
〇地域の活性化と利便性向上に寄与する商業等の機能
〇地域の特性を生かし新たな価値の発信へとつなげる交流機能
〇都市の活力を向上させる居住機能
3.低炭素型の都市づくり
〇エネルギー効率のよい長寿命な建築物の整備
〇緑豊かな街並みの形成
となっています。
HAZAWA VALLEYの動向を見ると、どれもしっくりくる内容ですよね!
リビオタワー羽沢横浜国大の開発では緑豊かなプロムナードが設けられる計画で、土地の高度利用として商業施設や357戸のタワーマンションが建設されていますもんね。
B地区(第三者所有地)の基本方針
第三者所有地が該当する”B地区”に言及した基本方針は次の通りです。
<B地区の基本方針>
A地区の空地と一体となってコミュニティプロムナードを形成する空地を確保するとともに、商業、居住等の機能を導入した複数の中規模の建築物を整備することにより、にぎわいの向上を図る。
B地区における土地利用の方向性が大きく2つ示されましたね!
一つは”プロムナードの整備”、もう一つは”商業や居住等の機能を導入した複数の中規模建築物”です。
”プロムナードの整備”について、水色で塗られている部分がプロムナードの予定地です。
プロムナードの面積は0.35haとなっているので、HAZAWA VALLEY全体の約20%を占める計算です。
リビオタワー羽沢横浜国大のA地区はもちろんですが、第三者所有地が該当するB地区もプロムナードに含まれています。
方角が異なっていて見づらいですが、プロムナードの予定地を水色で塗りつぶしてみました。
第三者所有地の中でも、クリエイトの左側あたりではプロムナードが整備されるものとみられます。
逆に、水色で塗りつぶした箇所以外の第三者所有地は、”商業や居住等の機能を導入した複数の中規模建築物”として土地利用されることとなります。
それでは、”商業や居住等の機能を導入した複数の中規模建築物”とは具体的にどのような建物なのか、地区計画の中身を見ていきましょう!
ちなみに、既に開業しているクリエイトSDもB地区の一部なので、これから紹介する地区計画に則って建設された建築物ですね。
B地区における建築物の用途制限
まず、第三者所有地が該当するB地区における建築物の用途制限です。
<B地区における建築物の形態の制限>
下記建築物は建築してはならない。
・1階を住居の用に供するもの
・工場
・マージャン屋、ぱちんこ屋、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場
・キャバレー、料理店
・危険物の貯蔵又は処理に供するもの
1階がマンションやアパートなどの住居になることはNG、というのは特徴的ですね。
”にぎわいの向上を図る”というのがB地区の目的の一つでもあったので、駅徒歩1分の好立地で1階部分がマンションやアパートになったら賑わいなどが生まれにくいですもんね。
また、工場やマージャン屋、キャバレーなどの建築も制限されています。
どういうことかと言うと、羽沢南二丁目地区の用途地域は準工業地域となっています。
準工業地域はほぼ何でも建築OKという用途地域で、工場やマージャン屋なども建築可能です。
ただ、B地区では駅前の賑わいを創出したり利便性を向上させたりしたいのに工場が建てられたら困る、という考えから、準工業地域で建築OKとされているものでも地区計画で建築NGに変更してしまおうということで、工場やマージャン屋などが建築NGと明記されているのだと思います。
行政側で羽沢南二丁目地区の再開発の方向性を示そう、という姿勢がこの建築物の制限から見えてきますね。
B地区における土地利用の規則
次に、土地利用の規則です。
<B地区における土地利用の規則>
〇建築物の敷地面積の最低限度:500㎡
〇容積率の最高限度:200%
〇建築物の高さの最高限度:31m未満
〇建築物の緑化率の最低限度:15%
この規則によって第三者所有地にどのような建物が建設されるのか、イメージしやすくなりますね。
まず、敷地面積の最低限度が500㎡以上と決められています。
小規模な建築物が乱立するのを避けるためとみられます。
また、容積率の最高限度は200%です。
例えば敷地面積が500㎡の場合、建物の延床面積はその200%である1,000㎡まで建設可能ということになります。
リビオタワー羽沢横浜国大が該当するA地区は、容積率が特例(建築基準法第68条の3第1項)で430%まで引き上げられていましたが、第三者所有地が該当するB地区は200%のままでした。
さらに、高さの最高限度は31m未満とされています。
高さ30mの建築物と言うと、オフィスビルでは7~8階、マンションでは9~10階相当でしょうか。
これで少なくともHAZAWA VALLEYでは23階建てのリビオタワー羽沢横浜国大よりも高い建物が建つ可能性はゼロとなりましたね。
ちなみに、リビオタワー羽沢横浜国大が該当するA地区の高さ制限は100m未満となっており、実際の高さは91.3mとなる計画です。
建ぺい率について地区計画で言及はありませんでしたが、既存の用途地域に照らし合わせれば60%のはずです。
例えば敷地面積が500㎡の場合、建ぺい率60%だと最大で300㎡まで建築面積を確保することができます。
これらの情報をもとに、第三者所有地にどの程度の建築物が建設されるのか見当をつけてみると、
<敷地面積500㎡の場合>
(1)建ぺい率を優先すると、
建築面積300㎡、延床面積1,000㎡、高さ4階建ての中層建築物
(2)高さを優先すると、
建築面積150㎡、延床面積1,000㎡、高さ7階建ての中層建築物
机上の空論で、記載内容が合っているかどうかも分かりませんが、建ぺい率・容積率・高さ制限を組み合わせるとこんな形になりました。
ただ、クリエイトSDは高さ31m未満まで建てていいと言われているのに2階建てにしているので、実際のところ開発計画が公表されるまでは何が建つのかわからないですね。
B地区における建築物の形態の制限
そして、建築物の形態の制限です。
<B地区における建築物の形態の制限>
〇周辺との調和に配慮したものとし、刺激的な色彩又は装飾は用いない
〇建築物の広場1に面する1階の部分は、にぎわいが連続する魅力ある街並みに配慮するため、ガラス等を用いるなど、開放感のある形態意匠とする
〇屋外広告物は、地区の景観及び地区外の景観を阻害しないようにする
〇垣や柵の構造は、開放性のあるものにする
この中で注目すべきは、2つ目の「1階の部分は、にぎわいが連続する魅力ある街並みに配慮するため、ガラス等を用いるなど、開放感のある形態意匠とする」という点ですよね!
行政側がここまで建築物に制限をかけるのか?と思いましたが、HAZAWA VALLEY全体にとってはプラスに働きそうですね。
クリエイトSDもB地区の一部なので、同様の建築制限がかかっているはずです。
ちなみに、リビオタワー羽沢横浜国大が該当するA地区にも全く同じ文言がありました。
このような形で、開放的なガラス面を設けた建築物になるのでしょうか。
まとめ:第三者所有地はどうなる?!
これまで見てきた情報をまとめると、こんな感じになりました。
<第三者所有地での建築物の方向性>
●最大で高さ30m(マンションだと9~10階建て)の建築物
●商業、居住等の機能を有する建築物
●敷地面積500㎡以上のまとまった規模の建築物
●1階はガラス面を設けるなど開放感のある外観
●1階は居住スペースとしての利用NG
ここまでは横浜市公式発表資料に基づいた事実になりますが、これをもとに私が考察すると、
<第三者所有地の建築物に関する考察>
・1階はコンビニやカフェ、飲食店などが開業するのではないか
・2階以上はマンションになるのではないか
・2~3階部分は、フィットネスクラブや学習塾などの可能性もある
・リビオタワー羽沢横浜国大の商業施設に駐車場が129台分あるので、駐車場が設けられるとしても極わずかではないか
となりました。
あくまで考察なので、参考程度に見ていただけると幸いです。
おわりに:第三者所有地、そこそこ期待できそう
第三者所有地について公開情報をもとに見てきましたが、そこそこ期待できそうな開発になるのでは?と思いました。
横浜市がここまで厳密に地区計画を策定していたとは知りませんでした。
厳しく制限がかけられており、その制限を無視して建築することはできないので、ある程度の方向性は見えてきたのかなと思います。
リビオタワー羽沢横浜国大の商業施設だけでは心もとないと感じていた方も大勢いらっしゃるかと思います。
そうした中で、第三者所有地に複数の中層建築物が建設され、1階部分には商業系の店舗が設けられるというのはかなりの朗報ではないかと思います。
具体的な話はまだ出てきていませんが、リビオタワー羽沢横浜国大の購入を考えている方、ハザコクへの引っ越しを考えている方はプラスに捉えていいのではないでしょうか。
何か追加情報や感想などありましたら、ぜひコメント欄に一言お寄せいただけると嬉しいです!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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コメント
コメント一覧 (2件)
まだ数少ない情報の中からここまで推察するのは流石です…!
今回の記事のおかげでなんとなーくのイメージが湧きました!
個人的な予想では学習塾やらスポーツジムとかが出来るのかな〜?と思ってました。
今年中にオフィシャルな詳細情報が出たら嬉しいですけどリビオタワーがある程度出来上がってからじゃないと第三者所有地の話しは進まないんでしょうねぇ…
かとうさん、コメントありがとうございます。
まだまだ情報が少ないのでぼんやりとしていますが、何となくこんな建物かな?というイメージ感がつかめてきましたよね!
>個人的な予想では学習塾やらスポーツジムとかが出来るのかな〜?と思ってました。
同意見です!
リビオタワー羽沢横浜国大の商業施設であぶれてしまう系が第三者所有地で掬われていくのかなと思っています。
となると、かとうさんのおっしゃる通りリビオタワー羽沢横浜国大の進捗を待つ状況になると思うので、今年は情報解禁がなさそうですよね。。。