ヨコハマの街・再開発ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、横浜市泉区にある旧深谷通信所の再開発について動向を整理したいと思います。
横浜市民の中でも「旧深谷通信所」という場所を知らない、という方は多いのではないでしょうか。
一方で、SNS等で時折話題になっていることから、円形状にぽっかりと穴が空いたかのように土地利用が行われていない航空写真を見たことがあるという方は意外と多いのかもしれません。
ネット検索の予測変換では「旧深谷通信所跡地利用 テーマパーク」と出てきたりしますが、これだけ大きなエリアは今後どのように開発されるのでしょうか。
横浜市内の街づくりや再開発に興味のある方は、ぜひ続きもご覧ください!
旧深谷通信所とは?
旧深谷通信所は横浜市泉区和泉町および中田町に位置しています。
周辺には鉄道駅がなく、最も近いのは横浜市営地下鉄ブルーラインの立場駅で約1.5kmほどです。
深谷通信所は戦時中、旧日本海軍の通信施設として使用されていました。
通信施設という利用目的から、電波の干渉を防ぐために円形状に土地が確保されていたようです。
円の直径は約1km、土地の総面積は東京ドーム約16.5個分の773,747㎡です。
1945年に米海軍により接収され、長い間土地利用が進められないままでしたが、2014年6月30日に日本へ返還が行われました。
なお、上記期間中も耕作地として一部エリアの利用が認められていたほか、旧深谷通信所を縦断する県道402号(通称かまくらみち)は通行が認められていました。
返還後の野球場やゲートボール場、広場として利用されており、その状況は2024年11月現在まで変わらず続いています。
深谷通信所の跡地利用に関する計画は?
2018年2月28日、横浜市は「深谷通信所跡地利用基本計画」を発表しました。
深谷通信所跡地利用基本計画のテーマは「緑でつながる魅力的な円形空間」となっています。
健康・スポーツの拠点としての土地利用、緑豊かな自然環境の保護、災害時の活用などが観点としてあるようです。
全体マップを見ると、旧深谷通信所を縦断する県道402号(通称かまくらみち)はそのままに、運動広場や陸上トラック、野球場、駐車場、多目的広場などが整備される計画となっていることが見て取れます。
概算事業費は約400億円となる大規模な事業となっています。
またスケジュール感もスパンが長く、深谷通信所跡地利用基本計画の発表から都市計画決定まで5年間程度を要すると記載されています。
また、都市計画決定から完成までは15年間程度かかるとのことで、2038年頃の完成を見込んでいるとのことです。
東京ドーム約16.5個分の773,747㎡ものエリアは、4つのゾーンに区分して配置されるようです。
A:ふれあいとにぎわいの広場ゾーン、B:スポーツパークゾーン、C:緑とやすらぎのメモリアルゾーン、D:外周道路ゾーンの4つです。
A:ふれあいとにぎわいの広場ゾーン
富士山を一望できる見晴らしの丘や、イベント・災害時に利用できる広大な草地広場、農体験や樹林地の育成を通して食物や自然の大切さを学ぶことのできる空間(農園、バーベキュー場など)などが整備される計画となっています。
B:スポーツパークゾーン
陸上トラック付き広場及びサッカーやラグビーの球技場、野球場、テニスコートなどが整備される計画となっています。
C:緑とやすらぎのメモリアルゾーン
四季の草花の鑑賞や散歩ができる緑の多い開放的な公園型墓園が整備される計画となっています。
D:外周道路ゾーン
車道や歩道機能に加え、緑豊かな空間の中でウォーキング、ジョギング、及びサイクリングなどを楽しめる、健康づくりにも寄与する幅員約 50m の外周道路が整備される計画となっています。
2024年11月時点の再開発動向は?
深谷通信所跡地利用基本計画(2018年2月28日公表)では・、2023年頃に都市計画が決定するというスケジュール感を示していましたが実際はどうでしょうか。
建通新聞は2024年3月8日、横浜市政策局が2023年度中の都市計画決定を見送ったとの情報を報じました。
環境影響評価の手続きに時間を要しているのが原因とみられます。
具体的には、現在の敷地を暫定的に利用している団体から運動施設の配置の見直しを求められていることで、再検討に時間がかかっているとのこと。
当初計画から少なくとも1年間は時期が後ろにずれ込むこととなりますが、建通新聞によると工事のスケジュールは当初予定から遅れないよう調整されるようです。
都市計画の決定から5年後に工事が始まる計画で、墓園の工事期間は5年間、公園と道路の工事期間は15年程度が見込まれています。
つまり、2024年度中に都市計画が決定した場合、墓園は2029年度から工事が始まり2034年度中の完成、公園と道路は2029年度から工事が始まり2044年頃の完成となる形です。
また、建通新聞は2024年6月27日、横浜市健康福祉局が「(仮称)深谷通信所跡地墓園」の整備に向けてデザイン指針の検討に着手すると報じました。
業務委託先を決める公募型指名競争入札を7月25日に開札し、2025年3月31日までに成果を得て、環境影響評価や都市計画手続きに備えるとのこと。
墓園の整備については着実に進捗しているようです。
おわりに
旧深谷通信所の再開発は商業施設などのハコモノは一切設けず、現状の土地利用を最大限に生かした形で開発が進められるというものでした。
そう聞くとシンプルでスムーズに再開発が進むかのように思いますが、東京ドーム16.5個分という広大なエリアとなっているため、都市計画決定までにかなり時間を要しているようです。
また工事期間も墓園は5年間と比較的短いですが、道路と公園の整備には15年もの年月がかかるという訳ですから、規模感としてはかなり大きいプロジェクトとなっています。
ここまで事業期間が長いと、周辺住民は工事期間中における不便な状況が長いものの完成後の施設を十分に享受できるイメージが湧かず、なかなか納得感が生まれにくいというのもわかります。
現状は基本計画しか示されていないため、今後横浜市から発表される情報によっては十分に変動の余地があります。
当ブログでは今後も旧深谷通信所の再開発状況をウォッチしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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