ヨコハマの街・再開発ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、新横浜駅篠原口で行われる計画の再開発事業をレポートしたいと思います。
相鉄東急直通線の開業によって新横浜駅の利便性は格段に向上しており、街の人気が更に高まっています。
新横浜駅周辺の将来性に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください!
新横浜駅篠原口とは?
新横浜駅と言えば、この景色を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
地上19階建ての駅ビルと、多方面につながるペデストリアンデッキが印象的ですよね。
JR北口と言う名称で親しまれています(諸説あり)。
横浜アリーナや日産スタジアムに行かれる際に使う出口も、こちら側が一般的かと思います。
ただ、今回の記事で扱うのはこちら側の出口ではなく、その反対側の出口になります。
こちらが新横浜駅の篠原口です。
先ほどの写真とは打って変わって、地方ローカル線の出口と見間違うような見た目です。
JR北口と篠原口の位置関係は、このような形になっています。
新幹線から見える風景が右側と左側で全く違う…!とたまに話題になるのが新横浜駅ですよね。
駐車場やアパートが立ち並び、はたまた緑豊かな森が見えるなど大規模な開発が進んでいないのが篠原口です。
篠原口の駅前は車のロータリーと駐輪場が大部分を占めており、高い建物と言えば写真右手に映っている中層ビルぐらいです。
見るからにのどかな雰囲気が漂う篠原口ですが、再開発事業の動きがあるということで、一体どんな開発になるのか続きを見ていきましょう!
再開発事業の情報を整理
ここからは、新横浜駅篠原口の再開発事業について、2024年8月時点で明らかになっている情報を整理していきたいと思います。
この再開発事業では「新横浜駅南口駅前地区市街地再開発準備組合」が結成されており、2022年7月1日に公式HPが開設されています。
公式HPに記載されている内容に基づくと、再開発事業の概要は次の通りになります。
事業名称と施行予定者は、まだ正式に都市計画決定しているわけではないため仮称となっています。
対象エリアは横浜市港北区篠原町で、そのうち約3.5haが今回の再開発事業の施行地区となります。
赤枠で囲われた範囲が再開発事業の対象エリアです。
新横浜駅と隣接する形で台形状に開発エリアが広がっているのが見て取れます。
さて、新横浜駅篠原口の再開発事業を巡る動向を次の表にまとめました。
今回の再開発事業(新横浜駅篠原口エリアでは1990年代にも再開発の機運が高まった時期がありました)は、2015年頃から少しずつ動き始めました。
具体的な形になってきたのは、2018年3月の「新横浜南口駅前地区市街地再開発準備組合」の設立ですね。
新横浜新聞の記事(2019年4月22日)によると、約40人の地権者のうち過半数がまちづくりの方向性に賛同したことから、再開発事業を進める動きにつながったようです。
その後、再開発準備組合は2019年3月に事業協力者として、日鉄興和不動産と東急による共同企業体(JV)を採択しました。
新横浜新聞の記事(2019年4月22日)によると、東急は「篠原口のまちづくりに対する意欲が非常に強かった」(再開発準備組合関係者)という点も選定理由の一つだったとのことです。
ちなみに日鉄興和不動産は、相鉄東急直通線で隣駅の羽沢横浜国大駅でタワーマンション「リビオタワー羽沢横浜国大」を開発した実績があります。
タウンニュース港北区版の記事(2019年4月25日)によると、最終的に4者が提案書を提出し、二度の審査を経て採択に至ったとのことでした。
そして2023年2月、横浜市都市整備局は新横浜駅篠原⼝の再開発事業と併せて行われる道路インフラ整備等にフォーカスしたまちづくり計画「新横浜駅篠原口のまちづくり計画(案)」を公表しました。
(1)から(4)まで、4つの内容が記載されています。
まず、(1)に関しては新横浜篠原線(新横浜駅の南側にある道路)の整備について言及しています。
現状は歩道が整備されておらず、また幅員も広くないことから交通事故の発生などの問題が生じているとのこと。
まちづくり計画(案)では歩車分離し、交通量に合わせた幅員にすることを掲げています。
(2)では新横浜駅篠原口の再開発事業に言及しており、準備組合が用意した土地利用計画図を掲載しています。
この土地利用計画図によると、再開発エリアは3つの街区と広場・駐輪場に整備されるとのこと。
1街区は高層業務商業棟ということで、いわゆる高層オフィスビルとみられます。
2街区は高層集合住宅棟とあることから、タワーマンションが建設されると推察されます。
3街区は中低層集合住宅棟とあるので、中低層マンションが建設されるようです。
再開発事業は準備組合(日鉄興和不動産と東急によるJV)が推進する事業となるため、横浜市都市整備局のまちづくり計画(案)では必要最低限の記載となっていました。
(3)では新横浜駅周辺の道路について言及しています。
歩行者と車が安心して通行できるよう幅員の拡幅などが行われるとのこと。
篠原口周辺を車または徒歩で通行された方は分かるかと思いますが、道がかなり狭く危険な状況となっています。
再開発エリア内ではないものの隣接する道路となっており、篠原口再開発事業と併せて道路の整備が行われるようです。
(4)については1980年代から計画のあった東京ドーム約8個分の約37万㎡もの土地区画整理事業を廃止するという内容です。
横浜市都市整備局が公表したまちづくり計画(案)ですが、今後の流れとしては地域住民の意見を聞きながら計画を策定し、その後関係機関との協議を実施し、住⺠説明会、計画案の縦覧及び公聴会、都市計画審議会等を経て、都市計画として決定した後、事業化を⽬指すとのことです。
道路インフラの整備は横浜市が主導しますが、高層オフィスビルやタワーマンションなどの駅前再開発事業については横浜市ではなく再開発組合が主導します。
都市計画決定後、詳細検討を進め関係機関の承認や地権者の合意形成が概ね整ったところで、再開発組合が駅前再開発事業に着⼿する予定とのことです。
これを見ると再開発事業の着手までは道のりが長く、実際に再開発事業が完了するのは早くとも2030年以降になるのではないかと個人的には考えています。
対象エリアの現在の様子は?(2024年6月時点)
ここからは、再開発エリアが現在どうなっているか、現地の様子を写真で見ていきたいと思います。
写真の撮影日はいずれも2024年6月25日です。
①新横浜駅篠原口
新横浜駅篠原口の駅前はロータリーと駐輪場で構成されています。
駐輪場利用者にとっては自転車やバイクを降りてすぐ駅舎に辿り着くことができて便利かと思いますが、新横浜駅前空間の土地利用としてはかなり勿体ないですよね。
駅前再開発事業土地利用計画図を見ると再開発事業でも広場と駐輪場は整備されるようですが、どのような配置になるかはまだ明らかとなっていません。
篠原口を出て正面には、再開発事業を知らせる看板が設置されていました。
看板の設置主体は「新横浜駅南口駅前地区市街地再開発準備組合」です。
②タワーマンション建設予定地(仮)
まだまだ再開発事業が着手されていないので、特に大きな変化は見受けられませんでした。
比較的新しめの戸建て住宅やアパートが立ち並んでいましたが、土地利用計画図ではタワーマンションの建設予定地となっています。
立ち退きが求められると思うのですが、地権者全員の合意を得るのはなかなかハードルが高そうにも思います。
③高層オフィスビル建設予定地(仮)
新横浜駅篠原口の至近では高層オフィスビルが開発される計画案となっています。
線路を挟んで反対側には既に多くのオフィスビルが立ち並んでいますが、篠原口は閑静な住宅地でこれと言って目立つオフィスビルはありませんでした。
篠原口のオフィスビルは駅前にある5階建ての加祥ビルが唯一といっても過言ではないでしょう。
新幹線尾ホームからも良く見える鏡面ガラスの中層ビルですね。
実はこのオフィスビルの地下1階に新横浜駅南口駅前地区市街地再開発準備組合の事務所があります。
それ以外にはクリニックや薬局、民間企業など様々なテナントが入居していますね。
④中低層マンション建設予定地(仮)
中低層マンションの建設予定地はコインパーキングが大半を占めています。
篠原口は非常にコインパーキングが多く、駐車場の需要を吸収しているエリアでもあります。
この再開発事業でまとまった駐車場が整備されるかは明らかになっていません。
ちなみに写真に映っている道路が新横浜篠原線ですね。
幅員がそれほど広くなく、歩道がないことが見て取れます。
おわりに:今後の動向に注目したいですね
新横浜駅篠原口の再開発事業は2024年8月時点では計画段階で留まっており、具体的な決定事項は一つもないのが現状となっています。
ただ、再開発準備組合が示した土地利用計画図では高層オフィスビルやタワーマンションの開発が示されていたり、横浜市都市整備局が公表したまちづくり計画(案)では道路インフラの整備が示されたりと、今後の動向を展望できる資料がいくつか出てきています。
まだまだ道のりは長いですが、地権者の合意も取れているとのことなので、以前のように頓挫することはないと信じたいです。
新横浜駅篠原口の再開発事業について情報をお持ちの方や何かお気づきの点がある方、当記事の感想など是非コメントをお待ちしております。
最後までご覧いただきありがとうございました!
主な参考文献:
新横浜・篠原口駅前、南口再開発の準備組合が「東急電鉄」などを協力者に選定(新横浜新聞)
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